=  6 マインド機能が生む思想 =

Mission
Mission

【誕生間もない人類の心】

長い歴史のあいだ、人類は法の仕組みを整え、独裁の暴走を抑え、多様性を受け入れるために民主主義を育ててきた。

 

しかし、各国の体制をエスプリ画(中心=自己意識/周辺=6つのマインド機能)の視点で眺めると、政治思想は今なお“全体像を束ねる中心統合”を欠いています。世界は部分ごとの力が強く、心の全体性が見失われがちなのです。

 

【地球上にちらばる主義思想】

人類史に現れた主義・思想は、人間の心を外側に投影したものにほかなりません。ゆえに6つのマインド機能へと整理できます。

 

直感機能(悟りたい):権力は啓示

宗教国家・神権体制  

 

精神機能(貢献したい):権力は人々

民主主義・平和主義 

 

思考機能(学びたい):権力は知識・新技術

資本主義・テクノリバタリアン・AI支配構想

 

肉体機能(生きたい):権力は武力

軍国主義・全体主義

 

愛情機能(愛したい):権力は血縁

君主主義・世襲資本主義

 

集団機能(働きたい):権力は労働者・組織的権威

共産主義  

 

それぞれの思想の価値観は異なるが、根底の目的は共通しています。それは、国家の安全と生活の安定――そして家族の安心を願う心です。

 

【国家体制の変換】

 

国家は、そこに暮らす人々の集合的な心から成り立っています。歴史を振り返れば、どの時代も「どの機能が主導するか」によって体制が変化してきた。たとえば日本史を大づかみに見れば、

 

古代:直感機能…神話と祭祀による統治

中世:愛情機能…君主主義・家族的秩序

近代:肉体機能…軍国主義(力と支配)

現代:精神機能…民主主義(自由と平等)

  

という推移が見えます。これは人類全体にも通底する「心理的進化史」です。

 

【共産主義=集団機能】

ここで注目すべきは、19世紀、ドイツの哲学者カール・マルクスが、資本主義を「搾取の構造」と捉え、労働の平等を掲げたことです。マルクスは次のような思想を抱き、労働階級の勝利によって、無階級な社会を実現すべしと主張しました。  

 

人間観 

すべての労働者は平等であり、人は生産手段と階級の関係にて規定されるべき。

 

道徳観

「資本家の利己」は搾取の源であり、平等が道徳となる。

 

経済観 

資本主義は搾取構造であり、規制・管理・分配にて生産手段を共有すべき。

 

人間尊厳

人類の解放による平等の中にある。  

 

その理論は各地の革命を促し、1917年にソビエト連邦社会主義共和国が誕生したのが皮切りに、中国、北朝鮮、キューバなどの共産主義国家(集団機能)が次々と誕生。集団機能が前面に出る国家群を生み出しました。

 

【6タイプの国家の現出】

二十世紀、集団機能が主導する国家群は、思考機能が主導する資本主義国家と対峙し、世界は長きにわたる冷戦の緊張に包まれました。やがて1991年、ソビエト連邦の崩壊によってその均衡は崩れ、マルクス主義は急速に影響力を失っていきます。

 

しかし、人間の心の構造を基点に考えるならば、集団機能が主導する国家――すなわち、労働階級を中心とする共産主義国家の出現は、歴史の偶然ではなく「心の必然」として理解すべきです。

 

この共産主義国家の登場によって、直感・精神・思考・肉体・愛情・集団という六つのマインド機能が、それぞれ国家の理念として歴史上に姿を現しました。こうして、人類の心に内在するすべての基本構造が、現実の政治体制として一通り出揃ったのです。言い換えれば、二十世紀の終焉は、「人間の心の全型」が地上に顕現した時代であったとも言えるでしょう。

 

【思考機能増大の潮流】

近年、民主的資本主義を掲げるアメリカでは、思考機能の働きが著しく強まりつつあります。その中心には、テクノリバタリアンと呼ばれる人々の台頭があります。彼らは「自由と平等は共存しえない」という主張のもと、民主主義――すなわち精神機能の理想を制約しようとする潮流を生み出しています。

 

この思想の背景には、ロシア系アメリカ人思想家アイン・ランドの掲げた「客観主義(Objectivism)」が深く影響していると考えられます。彼女は、世界を支えているのは「創造する人々」であり、人間社会の発展は、優秀な個人が理性によって価値を創造する営みによって成り立つと説きました。その根底には、次のような価値観が見られます。

 

人間観

個人は自らの幸福を追求する権利をもち、その理性と能力を最大限に尊重すべきである。

 

道徳観

自己の幸福を追求することは善であり、価値を創造する行為は道徳的である。

 

経済観

自由競争と成果主義こそが社会を最も効率的に発展させる。

 

人間尊厳

真の尊厳は、理性的な自由と生産的活動の中に見いだされる。

 

ランドは、マルクス主義を「平等の名の下に人間の創造力を奪い、優秀な者を罰する思想」として批判。彼女にとって、国家(集団)は個人を支配してはならず、むしろ創造者の自由を守ることが国家の使命でした。彼女の倫理の核心は次の言葉に集約されます。――「誰も他人の犠牲によって生きてはならない。他人を自分の犠牲にしてもならない。」

 

この思想は、マルクス主義が掲げる「平等」の理念に真っ向から対立するものです。そして今日、アメリカの新しい政権の一部には、この客観主義を思想的支柱として「理性の自由」を掲げ、資本主義の正当化に用いる動きも見られます。

  

しかし、アメリカという国家の根幹には、もともと民主主義に基づく「平等」の価値観が存在しています。マルクス主義も民主主義も、いずれも「平等」を理想とする点では共通しており、その差異が見えにくくなることで、社会の混乱が生まれつつあります。その結果として、民主主義の中心理念であった「人権」が、自由競争の名の下に軽視される危険性をはらんでいるのです。

 

【マインド機能主導の時代からの脱却】

全宇宙
Entire Universe

現代の世界を見渡すと、超大国アメリカにおいて、思考機能(理性)の勢いが増し、精神機能(倫理・共感)の働きを制御し始めていることが分かります。その影響は世界全体に及びつつあり、今まさに「精神機能が主導する時代」から「思考機能が主導する時代」へと移行する転換期にあると言えるでしょう。

 

一方で、地球全体の構造を俯瞰すると、依然として一つのマインド機能が支配的な国家が散在しています。それぞれが異なる思想解釈を掲げ、対立や分断を繰り返しているものの、それらを統合し、全体の均衡を保つ「自己意識(Self)」的な政治機構は、いまだ存在していません。国際連合は国際平和と安全の維持を目的として設立されていますが、各国家(マインド機能)を超越して統率する「意識の中枢」としての役割は担っていないのが現状です。

  

したがって、これからの人類に求められるのは、多様な価値観(各国のマインド機能)を包括し、ひとつの意識体としてまとめ上げる「人類全体の自己意識化」です。地球に中心的な統合軸――すなわち「人類の心」を誕生させ、それを基軸として各国の機能を調和させていくこと。その先にこそ、国家を超えた「地球的マインド」が芽生え、真に成熟した文明への道が開かれていくでしょう。