心を知るだけでは、人生は動かない
自分の心の構造を理解することは、大切な第一歩です。
しかし、それだけでは人生の方向は定まりません。
ベースエスプリ画は、自己意識を中心に、6つのマインド機能がどのように働いているかを示すものでした。それは、心の全体像を見渡すための「地図」です。
けれども、地図があっても、進むべき道は自動的には決まりません。
必要なのは、「どの方向へ進むのか」を定める基準です。
ルールエスプリ画とは、
その基準――すなわち内なる規範を明らかにするための図法です。

心の働きは、絶えず生成し続ける相対的な思索です。ものの見方がわずかに変わるだけで、同じ出来事がまったく異なる意味を帯びることも珍しくありません。
私たちの心の中には、さまざまな価値が同時に存在しています。
状況や立場が変われば、同じ出来事でも意味は変わります。
そのため、何が正しいかは一つに決めきれるものではありません。
エスプリデッサンでは、心を6つのマインド機能として捉えます。
それぞれの機能は、異なる欲求と視点を持ち、それぞれの立場から「正しさ」を主張します。
たとえば、
直感機能は、美しい自然の保護
精神機能は、地域社会の発展
思考機能は、教育の普及
肉体機能は、健康な体作り
愛情機能は、子育て
集団機能は、組織を通じた経済の発展
このように、「善」は一つではなく、心の中に多面的に存在しています。
まずはこの前提を理解した上で、自分が何を守ろうとしているかを明確にしていく必要があります。
日々の行いを通じて、理想の価値観を見つけ出したら、ルールエスプリの制作に取りかかります。
まず、マインド機能ごとに価値観を見つけてください。
たとえば、直感域は正直、精神域は秩序、思考域は自由、肉体域は正義、愛情域は絆、集団域は信用といった具合です。
心の中心には自己意識があり、マインド機能の訴えを聴き、調整し最終的な判断を行います。
その判断上の偏りを防ぐために、ルールエスプリ画では、6つのマインド機能それぞれに対する自らの理想的価値観を定め、さらに中心となる価値序列(最も大切にする価値)を設定します。
価値観は、そのままでは抽象的になりがちです。
そこで、補助となる言葉を加え、
意味をより具体的にしていきます。
たとえば、「正直」という価値に「素直」を加えると、
それは「自分の心に歪みなく向き合う姿勢」として、より明確になります。
こうして価値は、考えの中だけでなく、
日々の行動に結びつくものへと変わっていきます。

整理した価値観を、図として描き出します。
三重の円を描き、外側を6つに分け、
中心に最優先の価値、その外側に各機能の価値、さらに外周に補助的価値を配置します。
この図は、単なるメモではありません。
価値の関係を一目で捉えることができる、内的構造の可視化です。
ルールエスプリは、機能別に理想の価値観を配置した絵図であり、中心に掲げた価値観を軸として、ルールの価値体系は作り上げられています。
このエスプリ画は、思索の中心核となり、価値の序列を視覚化すると同時に、自己意識が6つの機能すべてに向き合う習慣を育てることができます。
目に見える形にすることで、
自己意識は常に全体を意識しながら判断できるようになります。
ルールエスプリ画は、ベースエスプリ画と結びつけて使います。
たとえば、ルールエスプリ画における最優先価値が「秩序」であれば、ベースエスプリ画の精神機能に「秩序」と領域に記入します。
精神には、理想を現実へと押し出す力があるためです。
このようにベースエスプリを母体として、複数のエスプリ画をつなぐことで、
人生の目的と日々の思考や行動は一つの流れとして統合されていきます。
ルールエスプリ画とは、単に価値を並べる作業ではありません。
それは、自分がどのような基準で生きるのかを、自ら引き受ける行為です。
私たちの心は、本来、多くの欲求と価値のあいだで揺れ動くものです。
その揺らぎの中で判断を行うかぎり、迷いが消えることはありません。
だからこそ、自らの内に基準を定める必要があります。
規範とは、迷いをなくすものではなく、
迷いの中でも選び続けるための軸です。
どの価値を優先するのか。
何を守り、何を手放すのか。
その選択を繰り返す中で、自己意識は徐々に鍛えられていきます。
内なる規範が定まるとき、
判断はその場の感情や状況に流されるものではなくなります。
それは、外部に依存しない、自分自身の中心から生まれる選択へと変わります。
そしてそのとき、人生は受け身の連続ではなく、
一つひとつを引き受けて形づくるものへと転じていきます。
規範を持つとは、
自らの人生に対して、主体として立つことにほかなりません。