自己一致
congruence of self

=  12 互恵的均衡による平和 =

【乱世生まれの政治哲学】

 

 人類の心に自己意識を誕生させる上で、大きな障害となる思想が一つあります。それは、紀元前の乱世に生まれた「富国強兵」という考え方です。「それぞれの国の価値観が異なるから、争いが起きる。争いに勝つためには、武力が必要。武力を高めるためには、国を豊かにすべし」 

 

【老害な思想の払拭】


 

 大小いくつもの国が乱立する時代に生まれたこの思想は、「一国が力を得て戦争を終結させれば、平和が訪れる」という当時の思想家の願いから生まれていますが、高度に発達した現代社会ではむしろ危険な思想になります。

 

・一国が大きな富を求めると、外交紛争の原因を作る。

・国が大きく富むと法の樹木の害虫が凶悪化する。

・凶悪化した害虫が、公害を発生させ、高度な科学力で生態系を破壊する。 

  

醜い芸術の量産時代を参照

 

【一マインド機能は世界を統制できない】

 

 世界は個人の心を映し出す鏡であり、自己意識によるマインド機能の統制という観点からすると、一国家(一マインド機能)が武力で世界を従えようとする考え自体にも無理があります。

 

 人間の内面では、自己意識が一つのマインド機能ばかりを頼り、他のマインド機能を軽視し始めると、その者の心が硬直化し、傲慢、偏見、虚栄心などのネガティブな感情を生み出し、行動の混乱を招きます。【第4巻】

 

 より本質的な視野で眺めると、個人レベルの世界で生じることは、国家レベルでも生じ得ます。もし肉体機能による支配(武力による世界統一)が成立した場合、人々の愛情機能が低下して柔軟性や慈愛さがなくなり、弱者ばかりを相手に暴力を振るう冷酷さや卑劣さが出現します。

 

 たとえ世界統一が実現できたとしても、人々の心は混乱し、その心の不調和が国家の体制に映し出されて国の分裂を招き、結果的に、内部崩壊と武力衝突による戦乱を招くことになるでしょう。 

 

【6機能による互恵的調和】

 

 一つの国家が自身の価値観を他国に押しつけるのは人間のエゴが具象するためです。たとえ掲げる価値観が異なっていても、それぞれの国家が互いに敬意を払って共存することができれば、世界は安定に向かいます。 

 

 個人の心の世界にて、6つのマインド機能が生み出すバランスとはどのようなものでしょうか? 人間の心の世界は、あるマインド機能と別の機能の働きが対立的な性質を有することで、互恵的な均衡を保っています。たとえば、

 

■思考機能の合理的な考えに基づき、効率ばかり重視して、何が大切なのかを見失いそうな時、直感機能は本質的に何が大切なのかを教えてくれる。

 

■集団機能による競争意識によって、ライバルと争う気持ちが高ぶった時、精神機能による理想の社会を実現させようとする大きな志が競争心を静めてくれる。

  

■愛情機能による優しさによって、憐憫の情に溺れそうになる時、肉体機能の生存の意欲は、心を現実に引き戻してくれる。  

  

【互恵的調和を支える大いなる意思】

  

 人間の心の世界は、すべてのマインド機能が正常に働くことで、好ましいバランスを保っています。どこかの機能の働きが強すぎたり、弱すぎたりすると、対極的機能と均衡を保つことができず、心が不安定になってしまいます。

 

 この個人の心のメカニズムと同じように、6つのマインド機能を代表する国家が互恵的な均衡を創り出すことができれば、人類の心は調和し、地球の恒久的平和が訪れることになります。 

 

 その上で、人類の心の世界に自己意識(中心統合機能)を誕生させ、人類の歩むべき方向(目的)を決めていくべきです。その人類の共通目的に向かって、それぞれの国家が自身の価値観に照らして活動を考えていくようにすれば、6つのマインド機能の働きによる互恵的な調和がより安定することでしょう。 

 

大きな山に登ってみると、人はただ、さらに登るべきたくさんの山があることを見出す。
After climbing a great hill, one only finds that there are many more hills to climb. Nelson Mandela