無限の宇宙には美しい調和(絶対基準)があり、その秩序の中に銀河があり、太陽系があり、地球があり、そこに暮らす人類は国家という共同体とルールを作り上げました。
私たち現代人は、宇宙の調和を感じ取り、自然秩序の中にある人々の生活から育った道徳観を大切にして、個々の価値観(内的基準)を構築する必要があります。
もし心に迷いが生まれた時は、まず、広大な宇宙の調和をイメージしてから、上界を眺めてください。それから、私たちが暮らす混沌とした現実世界を俯瞰的に観察すると、そこに内在している本質的な問題を見つけ出せるでしょう。
長い歴史を通じて、私たち人類は法の仕組みを整えるため、また、独裁者による暴走を防いで人々の多様性を受け入れるため、民主主義という国家を生んで発展させてきました。しかし、地球におけるそれぞれの国家の体制をエスプリ画(中心と6つのマインド機能)の視点でみると、私たち人類の心は、まだまだ誕生したばかりであり、自己意識の芽生えがない状態と言えます。
人類史に登場するさまざまな主義・思想は、人間の心が生み出した以上、6つのマインド機能に集約することができます。ここでは、エスプリ画の基本形を用い、6つのマインド機能の性格に照らして、人類が生み出した思想を振り分けてみましょう。
直感機能(悟りたい):神権政治、原始宗教 【権力は啓示】
精神機能(貢献したい):民主主義、平和主義 【権力は人々】
思考機能(学びたい):エリート主義、資本主義 【権力は合理的知識】
肉体機能(生きたい):軍国主義、全体主義 【権力は武力】
愛情機能(愛したい):君主主義、世襲資本主義 【権力は血筋】
集団機能(働きたい):共産主義 【権力は労働者】
これらの主義・思想は、さまざまな国家や共同体を創り、また、まとめるための役割を果たしてきました。
ここで注目すべきは、19世紀、ドイツの哲学者カール・マルクスが、『資本論』を著し、資本主義社会を資本家と労働者の対立としてとらえた上で、労働階級の勝利によって無階級な社会を実現すべしと主張したことです。
この政治理論の影響により、1917年にソビエト連邦社会主義共和国が誕生したのが皮切りに、中国、北朝鮮などの共産主義国家(集団機能)が次々と誕生し、共産主義国家はアメリカをリーダーとする資本主義国家(思考機能)と対峙しました。
その後、冷戦を経て1991年にソ連が崩壊。マルクス主義は急速に影響力を失うものの、労働階級を中心とした共産主義国家が人類の歴史に登場することで、6つのマインド機能が主導する国家体制がすべて具現化されました。
人間の心のメカニズムを考えた場合、この集団機能が主導する国家システムの登場は必然と言えるでしょう。この心の集団機能(共産主義)が現れ、心の思考機能(資本主義)と対立して、不安定な世界情勢を招きましたが、結果として世界の国家体制が6つの軸(根源的な形)を整えた終えました。
人類の歴史を振り返ると、人々は一つのマインド機能が主導する国家体制を作り上げ、その後、別のマインド機能が旧体制を破壊する形で、新たな国家体制を作ってきた、と考えられます。たとえば、日本の場合、直感機能(神権政治)⇒愛情機能(君主主義)⇒肉体機能(軍国主義)⇒精神機能(民主主義)、という流れがありました。
今の世界には、さまざまな国家の価値観を中心統合するような政治機能(自己意識の働き)はまだ存在しない一方、各国家は、それぞれ異なる価値観を抱きつつ存在しているだけです。
よって、世界に中心統合的な組織(人類の自己意識)を誕生させて、多様な価値観(各国のマインド機能)をまとめ上げる時代に来ていると言えます。
※国連は国際平和と安全の維持を目的としており、すべての国家(マインド機能)を統率する役割は有していない。
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