= 5 心の統制力を養う =

 

 エスプリデッサンを通じて、美・善・真の探求に取り組む一つの意義は、正しい価値観(絶対基準)を社会に招き入れて人類の健全な発展に貢献すること。では、今の時代を生きる上での必要な価値観とはどのようなものでしょうか? 

 

 それは時代の流れに合わせながら人生の道を歩み、美・善・真の重要性を悟ることで、深く理解できるようになります。その上で、私たちは価値観の迷走する社会の中で、自分自身を見失わないために、「どう生きるべきか?」を真摯に考えて、自らの理想、人生観、信念(内的基準)を明確にすることが大切です。

 

【中心統合的な思索】

内部統制
Internal control

 

 エスプリ画をデッサンし、多彩な活動を展開しながら、自分らしいライフスタイルを形成していくと、心の多面的な機能が活性化してきます。心の世界で自己の意識が司令塔となり、6つのマインド機能を上手に統制している状態にあるからです。【第1巻】

 

 すべてのマインド機能の働きは、私たちの人生そのものにつながっています。たとえば、思考機能による「どう学習するか」、愛情機能による「どう愛するか」、集団機能による「どう働くか」という一つ一つの事柄を突き詰めていくと「どう生きるべきか」という一つの人生観に辿りつきます。

 

 つまり、私たちの自己意識による「どう生きるべきか?」という思索は、多面的な生き方を含む中心統合的な思索と言えます。そして、私たちの自己の意識が人生の目的を定める中で、自分がどう生きるのかを別々な視点から考えていくことで、心の世界に存在する6つのマインド機能がそれぞれの役割を果たそうと活発に働くようになります。 

 


心の世界の中心とその背景
Center of the inner world and its back ground

【心の中心と周辺の関係】


 

 この地球の環境に適応して進化した私たち人間の心の世界において、6つのマインド機能が本質的な意味である程度自律的な働きであるとすれば、心の中心にある自己意識と周辺にあるマインド機能との関係をどのように考えるべきでしょうか? 

 

 人間の自己意識がその自由意志をいかんなく発揮するには、個々のマインド機能の特殊な能力が必要になります。たとえば、思春期における自己意識が「恋愛」を望んだとき、「愛情機能」が有するロマンスに満ちた繊細な能力を必要とする、という具合です。

 

 このように、心の世界の中心にある自己意識と周辺のマインド機能とは相互依存の関係にあります。しかしながら、その相互依存とは平等性を意味するわけではなく、通常、自己意識が最終的な決定権を有しています。自己意識がリーダーシップをとらなければ、自らの心の世界を支配することはできないからです。  

 


【内的基準構築による統制】

根拠の確実な論点
Valid point

 

 心の世界において、中心の自己意識から見た場合、周辺のマインド機能との関係における葛藤は、肉体行動の正当性と環境適応を巡る選択にて発生します。

 

 人間の自己意識が、「今の時代、地球上でどう生きるべきか?」を考えて、統括的な判断をしようとする場合、その判断には意味のある行動の根拠が必要になります。それぞれのマインド機能の訴えに対して説得できるだけの「大義」がなければ、心の世界にさまざまな争いが生まれて、心の統制が難しくなるからです。

  

 従って、私たちの自己の意識は、自分の人生観や信念(内的基準)を明確にする必要性に迫られます。そして、自分の生まれ育った環境に適応しながら、経験的な学習を進めたり、物事の道理を考えたり、理想のセルフイメージを形成したり、と自身の生き方を明確にする努力を続けることになります。