= 7 不調和との戦い =

【本質の見極め】

 

 エスプリ画のデッサンを通じた長い道のりにおいて致命傷を負わないように注意して進むには、自らの活動の本質的な意味を理解しておくことも重要です。この点、美・善・真の探求を通じて、物事の意味を悟り、美感を鍛えておくと、何が致命的な誤りなのかを鋭く察知できるようになります。たとえば、

 

・美の探求(クリエイティブ、音楽、スポーツなど)に係わる醜の行為 

・善の探求(法律、行政、家庭など)に係わる悪の行為

・真の探求(学術、教育、製造など)に係わる偽の行為

  

 が致命的な誤りであり、人々の良識に反することは、当然のように理解できるはずです。

 

【3つの致命的な過ち】


私は外からくるものよりも、自分の内にあるものをより恐れる。
I more fear what is within me than what comes from without. Martin Luther

 

 私たちの文明社会のシステム内にて、絶対的価値を守るべき立場に小人たちが関与し、致命的な誤りを犯すようになると、世の中は一体どのように変わるでしょうか?

 

◆醜の芸術家による美の虚飾・プロパガンダ・蹂躙・虐待【低俗・暴力・鈍麻】

 

 → 人々の美意識(内的基準の要)の崩落が、生命の繁栄を脅かし、地球の生態系を破壊する。

 

◆悪の為政者による奸策・不正統計・汚職・不倫 【私物化・不平等・無恥】

 

 → 国家ルール(外的基準)の荒廃が、人々の価値観(内的基準)を混乱させ、治安を悪化させる

 

◆偽の学識者による捏造・虚説・裏口入学【不正確・不合理・不実】

 

 → 科学者や教育者の嘘が、科学社会の安全性を打ち砕き、地球環境を汚染させる。

 

という具合に、彼らは「破壊者」となって人間社会を確実に衰退させます。

   

【一人では何もできない破壊者たち】

 

 邪悪な世界において、醜は悪を誘き寄せ、悪は法律の裏で偽を育て、私腹を肥やした偽は醜を飾り立てる。邪悪な力が発端となる人間社会の問題は個人的ではなく、国家システム内にて人と人との関係、人と組織との関係、あるいは、組織と国家との関係にて起こります。

  

 システムの中で不正を働く小人らは、もっともらしい大義名分を掲げて善人ぶるものですが、そうした人物の内面を深く見つめると、例外なく、自分の信念(内的基準)を持っていません。それどころか、自身の関与した不正の発覚を警戒し、共犯者や関係者の自白を恐れて相手を脅したり、証拠隠滅の行動に出ているのが常です。

 

 ※蛇足ですが、破壊者の習性からみて、共犯者から有力な情報を得て組織の犯罪を暴き出す「司法取引」は、有効性がとても高い、と言えるでしょう。 

 

【調和を乱す癒着】

  

 たとえば、政界人と官僚が癒着して不正を働いた末、罪のない部下に証拠隠滅への加担を強要して、組織の資料を焼き捨ててしまう、という具合です。このケースでは、三権分立の原理が働いていないという外的な問題に加え、人間の内的な問題としても、大きな禍根を残します。

 

・屈辱に感じた部下の心からは、組織に貢献して国家を良くしようとする夢が消えてしまう。

・破壊者たちは表面的には手を握り合っているが、内心では仲間の醜怪さに不快し、悪策に嫌悪し、偽言を嘲笑している。 

    

【街を覆う黒い霧】

 

 常道を逸した破壊者やその周りの人間の心に生まれた怒り・憎しみ・嘆き・後悔・不安・恐怖などのネガティブな感情は、外界の正常な活動を混乱させます。 

 

 外側の世界が混乱し、不調和が蔓延してくると、街全体が黒い霧で包まれたかのような不気味な雰囲気を醸し出し始めます。その霧はその地域に暮らす住民たちの内面に悪影響を及ぼし、人々が思い描く「理想の世界」までもが混乱させられてしまいます。

 

 破壊者の心が発生源となり、地域住民たちの心の世界で一種の感覚公害がまき散らされるのです。