嘘は生き続けることはできない。
A lie cannot live. Martin Luther King, Jr.

= 2 価値観の大迷走 =


【ルールの邪曲化】

 

 近世、科学の発展による社会システムの分業化が進み、多種多様な法律が生まれると、都市部において法律の仕組みを乱用する悪人が現れ始めました。彼らは自分たちの事業ばかりにせっせと利益誘導をし、不正に財産をため込むので、貨幣の流通に不具合が生じて社会経済は衰退に向かう。

 

 そして、民衆の不満が高まると、悪人らは法律制度(外的基準)に手を加えて、自分たちに都合のよい規則を定め、あるいは行政手続きに関与して「法の精神」を汚してゆく。一度悪改されたルールや手続きは、役人らの前例主義・事なかれ主義によって、二度と正常な状態に戻りません。 

 

 民衆は、自然の秩序から生まれた道徳観(内的基準)に従うわけでなく、国家のルール(外的基準)に頼れるわけでもない。不健全なルールの下、悪人たちに都合が良い価値観を押しつけられてしまい、生きる上での正しい行動の根拠を見失って不毛の地をさまようことになります。 

  


【手作りの価値基準を持つ】

内在する価値観
Underlying philosophy

 

 価値観が混迷する時世時節、私たちは自らの力で正しい価値観を探し出し、生きる力の源泉とすべきです。この価値観とは、「いかなる物事に価値を認めるか?」という個人的な見方・考え方・判断基準です。

 

 自らの判断基準がしっかりしているからこそ行動が安定するのであって、それがなければ、社会環境の変化に翻弄されてしまいます。時代の先行きが不透明であればあるほど、人生に対する考え方を定め、生きるスタイルを構築し、目指すべき方向を明らかにすることが大切になります。 

 

【社会的現実vs純然たる思い】

 

 私たちは故郷の暮らしの中で、価値観の芽を育ててきますが、人間の生活における真実とは、単なる現実固着による外的事実ではなく、人間の内面で捉え直して映し出されるものです。

 

 そして、自分の心の世界をよく眺めてみると、私たちは法律のルールを超えた、より普遍的で絶対的な価値(美・善・真)を感じ取りながら、自己を抑制している事実に気づくことができます。 

 

 日本の伝統文化には、「恥を知れ!」という言葉があるとおり、私たち人間の行為は、「法律の範囲内であれば何をやってもかまわない」という理論だけで生じるものではありません。 

 

【意味ある人生の方向へ】

Everything happens for a reason.
Everything happens for a reason.

 

 今世紀に入り情報技術が急速に進歩すると、お金や地位のために働くという20世紀型の考え方から、自分が本当にやりたいことや好きなこと、自分だけの人生を送りたい、という人が増えました。

 

 人生の意味は自分たちで見つけるべきであり、生き方やライフスタイルを重要視する考え方は人生設計、仕事選び、恋人選びにまで影響を与えています。

  

 この時代において重要なのは物事の「本質的な意味」を悟り、自分らしいライフスタイルを作ること。働くことの意味、愛することの意味、勉強することの意味などを内省的に見つけ出し、心に響く声(マインド機能の訴え)をうまく意思決定に取り入れた方が人生は良い方向に進む、と人々は信じ始めたのです。

 




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