
エスプリデッサンを通じて、芸術の創作に取り組む意義の一つは、自身の確固たる価値観を築いて、社会の健全な発展と生命の繁栄に貢献すること。では、今の時代を生きる上での必要な価値観とはどのようなものでしょうか?
それは、美・善・真をたゆまず探求し、物事の本質的な意味を悟ることで、より深く理解できるようになります。漫然と日々を過ごすのではなく、変化する世界の現実見据え、「今の時代、いかに生きるべきか?」を真摯に考え、自らの理想を明確にすることが大切です。
理想を掲げ、計画を練り、行動し、誤りに気づいたら率直に改める――この往復の鍛錬を重ねることで、内的基準としての信念と価値観は着実に定まっていきます。強い意志と冷静な批評性が拮抗する場でこそ、行動の目的は研ぎ澄まされるのです。

心の世界では、私たちの自己意識が司令塔として働き、六つのマインド機能(直観・精神・思考・肉体・愛情・集団)を統御しています。マインド機能の訴えが“起案”であり、自己意識の判断と決定が“帰結”となります。
これらのマインド機能は、心の世界の形を成り立たせる根源的な枠組みであり、私たちの人生そのものと深く結びついています。たとえば、思考機能は「どのように学ぶか」を、愛情機能は「どのように愛するか」を、集団機能は「どのように仲間と働くか」を問いかけます。こうした一つひとつの問いを突き詰めていくと、やがて「いかに生きるべきか」という人生観へと到達します。
人生の歩みの中で、自己意識は多くの重要な決断を迫られます。そのたびに六つのマインド機能がそれぞれの立場から意見を述べ合い、互いに影響し合いながら活発に働きます。自己意識がそれらの声に耳を傾け、最終的な方向性を定めるとき、心の内部にはひとつの秩序と調和が生まれます。
人間の自己意識とは、「私は私である」と自らに告げることのできる存在です。一方で、心に浮かぶマインド機能の声は、どこか自分とは別のもののように響き、一定の客観性を帯びています。
見方を変えれば、本来「人間の自己意識が六つのマインド機能を使っている」のではなく、むしろそれぞれのマインド機能こそが、自律的な目的を持つ生命的な働きとして、人間の感覚の奥に芽生え、発達してきたのかもしれません。やがて、ある段階で人間は自己意識を誕生させ、それら多様な働きを統合することで、複雑な内的ネットワークをまとめ上げ、生存能力を高めていった――このように考えてみることもできるでしょう。
このような内部世界において、「どう生きるべきか」という思索は、ひとつの自己意識と六つのマインド機能が相関し合いながら展開される中心統合的な思索です。もし、自己意識が“主我”として存在し、六つのマインド機能がそれぞれある程度自律的に働いているとするならば、両者の関係をどのように理解すべきでしょうか。
自己意識が自由意志を発揮するには、個々のマインド機能の力を借りなければなりません。たとえば、思春期の青年が「恋愛」を望むとき、愛情機能の持つロマンスへの感受性、繊細な表現力、豊かな共感性、そして思いやりある献身といった力が不可欠となります。
このように、人間の人格的基盤は、自己意識と各マインド機能との相互依存の関係によって成り立っています。ただし、この相互依存は平等を意味しません。通常、最終的な決定権を持つのは自己意識であり、そのリーダーシップを失えば、心の世界の秩序はたちまち崩れてしまうのです。

心の世界において、中心にある自己意識から見れば、周辺のマインド機能との間に生じる葛藤は、私たちが生活環境に適応しようとする過程で、選択や行動の正当性をめぐって発生するものです。
自己意識が「この時代、この地球(この国、この民族、この地域、この家庭)において、いかに生きるべきか」を問うとき、その判断には、意味ある行動を支える確かな根拠が必要になります。もし各マインド機能の訴えに対して、自己意識がそれを説得できるだけの“大義”を持たなければ、心の内部には争いが生まれ、統制は乱れてしまいます。
したがって、自己意識は自らの指向性(目的、価値、意味)を明確にしなければなりません。そのためには、生まれ育った文化や生活環境に適応しつつ、経験から学び、物事の道理を深く考え、理想のセルフイメージを描きながら、自分の生き方を具体的に形づくっていく努力が求められます。
このようにして形成される内的基準こそ、自己意識が心の秩序を保ち、六つのマインド機能を調和的に導くための軸となるのです。
こうして内的基準が確立されると、心の世界には一つの秩序が生まれます。自己意識は、もはや感情や衝動に振り回される存在ではなく、それらを客観的に見つめ、適切に導く司令塔となります。六つのマインド機能は、それぞれの個性を保ちながらも、自己意識のもとで調和を取り戻し、一つの方向へと力を合わせるようになります。
心の統制とは、感情を抑圧することではなく、意志の中心を確立することです。外界の変化に左右されず、自らの理念に従って行動できるとき、人は初めて真の自由を得るのです。その自由とは、混沌の中に秩序を見いだし、自らの美意識をもって人生を構築していく力でもあります。
① 平常
→ 各機能が自律的に動く
② 不一致発生
→ 機能間に緊張が生まれる
③ 統合要求
→ 自己意識が立ち上がる
④ 選択
→ 一時的な「自分」が形成される