= 9 分断社会の無防備さ =

 

 地球にある人間社会は、幾世代にわたって人々の感性・心性・知性が係わることで発展してきました。ところが現代社会においては、生活の利便や企業の収益に貢献する科学が最も重視され、この科学を生む人間の知性が道徳を生む心性や芸術を生む感性よりも重んじられています。

 

 人間の知性は真偽を判断するのみであり、「人を騙せば金儲けができる」という事実を”真”と判断すれば、そう行動しようとする。しかも、人間の知性は感性や心性に比べると、視野が狭く欠陥だらけのものです。

 

  計算高い知性を有する人間は、利害を最優先するものですが、お金は「経済的な価値の尺度」を示すだけのもの。一方、洗練された感性を有するアーティストは、「内的な価値の尺度」を有するのでお金で示される価値が絶対にはなりません。   

 

【道徳的期待に支えられた社会】

悪(不正・不道徳)を非難しない者は、 そうすれと命じているのだ。
悪(不正・不道徳)を非難しない者は、 そうすれと命じているのだ。

 

 人間の知性は、大きなものを細かく分断していく性質にあり、科学が高度に発達すると、産業も複雑に分業化さていきました。その結果、現代社会では誰もが一つの専門分野に属しており、個々の専門家の役割を単純に把握できなくなりました。

 

 私たち現代人は、生活における多くの部分を他分野の専門家たちに委ねて暮らしており、「それぞれの専門家が適切に自己の責任を全うしてくれるだろう」という人々の道徳的な期待によって営まれているのが実情です。

 

 分業化社会で働く私たちは、専門の知識・技術を習得するだけではなく、今まで以上に人間的な成長を追求して国家の運営を支えて、持続可能な社会作りに励む必要があります

 


【科学の脅威と危険性の増大】


The value of a man should be seen in what he gives and not in what he is able to receive.
The value of a man should be seen in what he gives and not in what he is able to receive.

  

 国家の「法の樹木」に巣くう醜勢の危険度は、かつてないほどに増しています。高度な科学技術が人類の現実脅威になった今でも、醜人たちは昔ながらの不正感覚で国家システムに関与するからです。

 

 複雑な社会では国民の目も届きにくくなったため、十分な議論がされないまま法律が勝手に作られた上に、醜い勢力が責任の所在を意図的に不明確にすることが容易になりました。

 

 さらに、醜人たちは、自分の立場が不利になれば、「記憶にない」、「書類は破棄した」、「病気になった」と逃げ回る手段ばかりを巧妙化させており、無責任極まりありません。 

 

【経済低迷の人的要因の研究】

The conduct which isn’t natural bears the confusion which isn’t natural. William Shakespeare
自然でない行いは、自然でない混乱を生む。

  

 不純な感覚を備えて不正を働く人間ほど厄介であり、恐ろしい存在はないという真実を私たちは理解すべきです。その本当の恐ろしさは、不正行為そのものよりも、彼らが不正を隠蔽しようと周りを巻き込みながら延々と続ける愚策・偽報から進行する社会システムの劣化です。 

 

 にもかかわらず、学術界における政治経済の研究は、醜い権勢の不正やその悪影響を解明する努力を怠ったまま、経済低迷に関する原因と結果の因果関係を説明しているが故に力強さに欠けます。権力者に都合の良いことばかりを唱える御用学者(真のふりをした偽)すら存在し、マスコミに姿を現して、大げさなパフォーマンスで人々を迷わせます。

 

 これでは、中世期、疫病や感染症が大流行しても、その根本原因が分からず、治療ができずに途方に暮れた医者たちと何ら変わりはありません。 

 

【民意が反映される議論】


 

 私たちは芸術的な表現を通じて、「法の樹木」に寄生する汚職人らの実態、経済動向、国民の生活などに関心を払い、「健全なルール制度により、平等で自由な暮らしが保証されているか?を確かめてみるべきです。

 

 民主的な投票により、私たち国民が政治家を選出して強い権限を与える以上、その後の活動が正しく行われているかを私たちは当然にチェックする必要があります。選挙を通じて多数派になった政治家たちが、国会を通じて何をやってもかまわないという訳ではありません。 

 

 一方、未知の疫病などに関する国会議論や政策判断に絶対的な正解があるわけではなく、その効果や成否は、時間が経たないと分からないものです。

  

 だからこそ、行政のプロセスを記録した公文書の保管や国民への説明責任が必要になります。信頼できる記録が残っていることが国家運営の評価には不可欠であり、適正に情報公開されることで、芸術家は社会の営みや人々の暮らしをより鮮明に表現し、政策修正の糸口を探れるようになります。

 

【美醜の対比が価値の原点】

I pay no attention whatever to anybody's praise or blame. I simply follow my own feelings.
I pay no attention whatever to anybody's praise or blame. I simply follow my own feelings.

 

 地球の美しい環境が取り返しの付かない事態になる前に、私たちは醜勢の不正行為の阻止に力を尽くすべきであり、そのため。私たちは美意識を養う必要があります。私たちが朝焼けの輝きに涙するのは、それが「本当に美しい」からです。

 

 私たちの美意識は、地球の姿や人々の行為が美しいことを願い、地球上のすべての生命を繁栄に導くために、人間社会のあり方を正そうとします。

 

 人々の洗練された美的感覚が、「芸術的な表現」を通じて、現代人としてのあるべき心を育て、現代社会が向かうべき方向を模索しながら、善い哲学を導く。

 

 その哲学が、道徳的で公正なルールを構築する。そして、そのルールの下で、学問に励む人々は既成の考えを疑い、新たな発見をし、健全な科学技術の発展に努める。

 

 つまり、人間の美意識が原点となって、国の仕組みに変えることで、私たち国民は、良識を持って科学の暴走を止められるようになります。

 

If we go down into ourselves, we find that we possess exactly what we desire. Simone Weil
内なる自分を見つめると、実は望んでいるものをちゃんと所有していることがわかる。