= 3 ヒューマニティマインドの創造=

【自分の心と人類の心】

 

 20世紀の哲学者サルトル(フランス)は、外界の現実は私たちの働きかけによって、「そのような現実」になっている。外界の現実というのは私の一部であり、切って離すことはできないが故に、自分の行動の責任はすべて自分自身に跳ね返ってくる、と告げた。 

 

 責任云々という論点は別にして、外側の社会は、実際に人間が創り上げたものなので、私たちの暮らす街の営みには、「私自身の考えや行為」が多少なりにも影響を与えているのは事実です。

 

 また、内的に考えてみると、「自分」と「外界」の関係は、「自分の心の世界」と「自分を含む人間の心が作り上げた世界」(人類の心)の関係と言い直すこともできます。つまり、自分の心が人類の心に働きかけをする一方、人類の心も自分の心に働きかけを行っています。

 

【芸術家の心の役割】

 

 世界中の人々が集う「人類の心」への働きかけを考えた場合、美しい芸術がとても重要な役割を果たします。美しい芸術は生命を繁栄に導く性格にあり、美を表現する芸術家は、意識的・無意識的に地球の平和につながる「普遍的な価値」を創作し、人々に「大切なものは何か?」を提示してくれるからです。

 

 優れた芸術作品を通じて、世界中の人々が思いを寄せ合い、共鳴することで、世界の民主的なコントロールが可能になります。

  

【6マインド機能の具象】

 

 芸術作品が普遍的な価値観を提示する一方、作品の鑑賞者は視点を変えることによって、それぞれにとらえ方を変化させています。心の世界にあるそれぞれのマインド機能の役割が違うため、鑑賞者がどのマインド機能を重視しているのかにより、物事の見方が変わるからです。

  

 たとえば、一つの芸術品ではありませんが、私たちの街にある「カフェ」を観察して、そこに内在するマインド機能の役割を考えてみましょう。

 

◆直感機能;店の雰囲気作りを創造

◆精神機能;静かで快適な環境の追求

◆思考機能;建築と火災防止の知恵

◆肉体機能;美味しい飲料の選択

◆愛情機能;男女愛

◆集団機能;集団のマナー   

 

という具合に、「カフェにとって大切なものは何か?」は、その設計者、経営者、利用者などが「どのマインド機能を働かせているのか?」により異なってきます。 

 

【思索領域と変化する価値観】

ルールエスプリ画のサンプル
ルールエスプリ画のサンプル

 

 社会的な人間がより現実的に自分の立ち位置や責任などを考えることで、「何が一番大切なのか?」という価値観も異なってきます。そのため、エスプリデッサンではルールエスプリ画を用いて、6つのマインド機能ごとに理想の価値観を定めて価値序列を創ります。【第5巻】 

 

 理論の要旨(上界と下界の往復)でご説明した通り、自らの価値を定めて一貫性のある活動をすると、物事の本質や道理をより深く考えることができます。

 

 自身の体験を通じて、物事の本質まで遡って考え抜くことになるため、成熟したルールエスプリ画は、単に価値序列を示すだけではなく、世界や社会の状況、現代人の人間性などについての示唆を与えるものにもなるでしょう。

 

【視野拡大による価値観の変化】

 

 人間は視点を変えるだけではなく、イメージの拡大によっても、物事の価値判断を変えることができます。たとえば、札幌に暮らす人間が自己のイメージを広げて、自分自身を札幌市民から、北海道民、日本人、アジア人、人類という具合に捉え直すことで価値観は変わり得ます。

 

 その者のあるべき姿が、家庭の習慣、地域の風習、民族の文化、人類の課題などによって変化し、「自分は何を大切にすべきか?」と考える中で、自身の役割や責任が変化するからです。 

 

 このように世界の人々がそれぞれ異なる価値観を有するからこそ、私たちは世界中の心を寄せ集めて「人類の心」の形成する必要があります。そして、地域や民族を越えたより普遍的な価値観を探せば、美・善・真の価値が浮かび上がるのです。

 

【自己意識の抽象度を変える】

  

 エスプリデッサンでは、意識の抽象化というテクニックを用いて、イメージ領域を意識的に変化させていきます。たとえば、ある日本人がイメージを広げると、本人(個人レベル)・日本人(国家レベル)・世界人(世界レベル)という具合に自己を規定し直すことことができます。その結果、人類の心をより鮮明にイメージできるようになるでしょう

 

 また、意識の抽象化を通じて、あなたは自己意識の規定ばかりではなく、それぞれのイメージ領域における6つのマインド機能の役割も変化させることになります。たとえば、人間の愛情機能の役割が、家庭レベル、地域レベル、国レベル、民族レベル、地球レベルなどによって変化するからです。 

 

 したがって、あなたは意識の抽象化を通じて、それぞれのイメージ領域におけるマインド機能の役割をよくよく考えてみることで、外界の実相をより深く読み解けるようになります 

 

 

【イメージレベルに応じた観察】

 

 たとえば、私たちの自己意識を個人レベルから国レベルにまで抽象化し、「6つのマインド機能が、国家機関をどのように作り上げているのか?」と考えてください。その結果、

 

●自己意識;内閣

 

◆直感機能;特許庁、環境省

◆精神機能;外務省、法務省

◆思考機能;文部科学省、財務省

◆肉体機能;農林水産省、警察省、防衛省

◆愛情機能;厚生労働省  (労働部分は集団)

◆集団機能;経済産業省、国土交通省  

 

 という具合に、6つのマインド機能の役割に準じて、日本の国家機関を考えてみることができます。 

 

【本質の逸脱チェックと題材】

 

 その上で、各機関の活動実態が適切なのかを見極めてみましょう。たとえば、財務省には思考機能の役割があり、真の探求を推進すべき組織であるため、そこに属する官僚は、当然に思考機能を正しく働かせるべき存在になります。

 

 にもかかわらず、もし財務官僚が国会の答弁で「偽」を告げる、あるいは、真実を曖昧にすれば、その官僚は自身の役割を本質的に誤解している、と判断できます。また、もしそれが国家全体の動きの中で行われたのであれば、その国家自体が本質的な欠陥を抱えている、と判断できます。

 

 このようにイメージレベルを変える中で、6つのマインド機能の役割を考慮し、実際にどのように働いているかに注意を向けると、世の中の実態を検証できるようになります。その上で、これらの問題をどのように改善すべきかを考えてみることで、芸術作品のテーマや題材を探ることができます。

 


【芸術交流とヒューマニティマインド】


 

 意識の抽象化に慣れたなら、世界に暮らす人々が集まって作り上げるだろう「人類の心」をイメージし、その世界を感じ取ってみてください。それと平行して、美しい芸術の創作に取り組み、インターネットなどを通じて世界の人々に自身の作品を展示し、人間として「大切なものは何か?」を自分なりに提示してみましょう。

 

 自らの芸術作品の展示を通じて、鑑賞者の反応を確かめ、また、幅広く交流することで、「今、世界の人々は、何を大切にしているのか?」を理解し、思いを寄せ合うことができます。

 

 その中で、私たちが共に生命の繁栄世界の共存を考え、世界政府の構築やルール作りのための具体的な方策を考えてみることで、人類の心はだんだんんと鮮明になってきます。